歌うこと。それは私たちにとって何か根源的なことではないでしょうか。
すべての文明において、歌は祈りから生まれたといいます。もちろん、内なる歌は楽器や舞踊を通して表現することもできます。
ですが、自身の身体の振動である「声」が肉体の内部で歌として表現される、それは特別な体験と言ってもよいと思います。
歌うことは、喜び、癒し、ハートを開くこと。ボディトーニングや、霊性を高める手段ともなり得ます。
北インドの古典音楽ドゥルパドは、現存するインド最古の様式です。
ナーダ(音)・ヨーガ、バクティ(帰依)・ヨーガ、ニャーナ(知識)・ヨーガの、3つのヨーガを核としていて、声楽が主流。その発声方法は、ナチュラル・ヴォイスでハートセンターから。
また、歌い回しはチャクラと関連しています。東洋式に言うなら、声を気のボールとして身体全体で歌うのです。
今回のヴォーカル講座シリーズでは、そのドゥルパド声楽の発声や歌い回しをベースに、チャクラヴォイスワークと発声、インド式音階トレーニングのアランカール、ラーガ(旋律型)をベースにしたシンプルなマントラやキールタンなどの歌を取り上げます。
ドゥルパド声楽そのものは何年もの訓練を要する難易度の高い即興音楽ですので、このシリーズはドゥルパド声楽そのものの講座ではありません。歌に自信のない方も、初心者も、歓迎です。
素顔の声でハートセンターから歌う、その喜び。アランカールで音感と音程の訓練、ついでにボディトーニング。こうしてインドの音宇宙観に親しめば、難解そうなインド音楽も身近に感じられ、面白くなってもきますよ。
Shree
北インド古楽ドゥルパド声楽・魂のうた81年大阪大学文学部美学科卒。
87年、初めてのインド旅行。以来四半世紀間もっとも多くの時間をインドで過ごし、サントゥール・ダブラ・パカーワジ・声楽などの北インド古典音楽、サンスクリット語、ハタ・ヨーガ、ヴェーダーンタ思想に親しむ。 92年より、北インドの古典音楽であるドゥルパド声楽を、べナレス・ヒンドゥー大学の リトウィック・サンニャル教授より師事。声楽の第一の師として現在にいたるまで指導を受けている。 97年、天空オーケストラのイぎリスツアーにヴォーカリストとして参加。 近年はドゥルパド界ダーガル流派の声楽の巨匠故ウスタッド・ジア・ファリドウッ ディーン・ダーガル、その甥のルドラ・ヴィーナーの演奏家ウスタッド・モヒ・バハウッ ディーン・ダーガル、グンデーチャ・ブラザーズの指導も時々仰ぐ。南インドの聖なる篝火の山アルナーチャラの麓に10年ほど暮らす。
毎年数ヶ月日本やアジアの国々を訪れ、ドゥルパド声楽ライブとヴォイスワークショップのツアーを行っていたが、2012年に日本にシフト。現在は、四半世紀に及ぶインドの旅からやって来た「魂のうた」や、キールタン、ドゥルパドのライブやワークショップ、ヴォーカル教室、ユニット『BhogiYogi Nirvana Express』で活躍中。